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令和4年度活動記録

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令和4年9月 3日(土)〜5日(月)葛城奈海&矢野一樹(元潜水艦隊司令官)と行く防人と歩む会研修旅行

令和4年8月27日(土) 8月講演会 火箱芳文氏

令和4年7月23日(土) 7月講演会 小川清史氏

令和4年6月25日(土) 6月講演会 田中英道氏

令和4年5月21日(土) 5月講演会 河野克俊氏

令和4年5月14日(土) 旧海軍墓地参拝 防人と歩む会・広島

令和4年4月23日(土) 4月講演会 矢野一樹氏


令和4年9月3日(土)〜5日(月)葛城奈海&矢野一樹(元潜水艦隊司令官)と行く防人と歩む会研修旅行

研修日:9月3日(土)〜5日(月)。研修旅行日程案は→ こちらをご参照ください。
開催地:長崎県長崎市及び佐世保市
研修先:軍艦島、出島、グラバー邸、セイルタワー、水陸機動団、佐世保地方総監部等(調整中)


令和4年8月27日(土) 8月講演会 火箱芳文氏

日 時:8月27日(土) 15:00〜17:00
場 所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 3 階 C 会議室
    東京都新宿区市谷八幡町8番地
    アクセス
講 師:火箱 芳文氏(第32代陸上幕僚長 )
演 題:「戦略3文書の見直しに期待すること」
     ー元陸幕長としての観点から―
懇親会:近隣別会場にて懇親会を行います 。
    ◎参加費4000 円 但し高校生以下無料。
くわしくは→ こちらから


令和4年7月23日(土) 7月講演会 小川清史氏

日 時:7月23日(土) 15:00〜17:00
場 所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 3 階 C 会議室
    東京都新宿区市谷八幡町8番地
    アクセス
講 師:小川 清史氏(元 陸将 )
演 題:「民間防衛」
懇親会:近隣別会場にて懇親会を行います 。
    ◎参加費4000 円 但し高校生以下無料。
くわしくは→ こちらから


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●当会スタッフ講演会リポート

令和4年7月 講演会リポート(会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 3階C会議室)
 7月は自衛隊の指揮官として数々の災害派遣を通して多くの民間人を救出する実績をお持ちの小川清
史 元陸将をお迎えし、「民間防衛」というテーマでご講演いただきました。
〔略歴:徳島生まれ、62才。防大26期生・土木工学専攻。第13普通科連隊小隊長(日航機墜落の
災害派遣)、第36普通科連隊第1中隊長(阪神淡路大震災の災害派遣)、陸上自衛隊幹部学校長、西
部方面総監(熊本地震災害派遣)等歴任〕
日本では地震・津波、台風・大雨、火山爆発などは毎年発生しますので国民は自然災害には慣れている
と言えます。一方、有事(外国からの侵略や大規模テロ)に対しては、戦後の教育と元来性善説の国民
性のためか他人事のように思い込んできました。しかし、ウクライナでの戦争で私達の国では無縁と思
い込んでいた有事は日本においても決して他人事ではないと気づかされました。さらに日本政府の対ロ
シア外交は思いの外強硬路線で、日本にとって決してやってはいけない中露接近を自らが促してしまう
始末、今や地政学的には、台湾・日本領域における中国の脅威はウクライナより危険度を増した感があ
ります。このタイミングで「民間防衛」を学ぶことはとても有意義なことです。国民の意識向上と対策
・訓練の具体化・高度化は抑止力向上に直接寄与するものと思います。

 多くの国々に共通する民間防衛の考え方の基本は、「軍事防衛だけで国家の防衛を全うするのは不可
能」という点にあるとのことです。各国の地理的環境、国力、政治・社会体制や具体的な脅威によって
異なりますが、欧米諸国の危機管理体制は武力攻撃に対応する民間防衛(civil defense)という概念
を基本に自然災害等に対応する市民保護(civil protection)を包括する形で整備されています。
わが国における「有事法制」の研究が始まったのは、1976年(S51)9月に旧ソ連のミグ25が
函館空港に強行着陸するという事件が発生しとことによります。その後何回かの報告書が作られる中、
北朝鮮による弾道ミサイル発射事案や能登半島沖の武装不審船事案等の事態に適切に対応するため、2
004年(H16)に、日本が外国から武力攻撃を受けた時の政府による警報の発令、住民の避難誘導
・救援などの手順を定めた国民保護法が成立しました。結果、我が国では国民保護と防災とが危機管理
体制の二本柱になっています。法律の形式として国民保護法は災害対策基本法の枠組みを援用していま
すが、災害基本法が地方自治体の自主性を基本にしたボトムアップの法体系に対し、国民保護法は武力
攻撃災害の特性から国家が地方自治体に向けてトップダウンの法体系になっています。国民に課せられ
ている義務は「通報の義務」唯一となっています。しかしながら、警報や避難の機能は同じとは言え、
多くの場合一過性の自然災害と敵国からの攻撃では期間・質的にも異なるので、法律と現実がアンマッ
チにならない様に国民の意識向上や地域防衛の充実が要請されています。例えば日本の法制度は私権の
制限を極端に嫌いますが、そもそも私権を保護する国家が危機にある時に“私権の制限”云々を主張す
る意味がどこにあるのでしょうか?

 小川講師は1985年(S60)の日航機の御巣鷹山災害、1995年(H7)の阪神淡路大震災災
害、2016年(H28)の熊本地震災害での派遣体験を通して、危機・災害対応の国民意識の向上の
経緯を話されました。御巣鷹山災害では米軍の情報をもとに夜中中捜索したが場所が分からず朝方にや
っとたどり着けたこと。緊急出動はしたものの現地では新聞社がチャーターしたヘリコプターが自由に
離着陸するなど全体指揮は国なのか県なのか、全くわからない状況だったこと。阪神淡路大地震では兵
庫県知事による自衛隊への災害支援要請が遅すぎたことや伊丹空港の自衛隊機発着が認められなかった
ことが問題視されたこと。また被災地での隣近所の情報交換がいかに重要さも浮き彫りになったそうで
す。熊本地震では人口約60万人のうち約20万人が避難するという状況下では、避難所の設定や支援
物資の配り方が避難民の生存に直結するとも述べました。
 また、軍事の専門家としてウクライナ戦争をコメントされました。ロシアのサイバー戦はさほど有効
ではなかったのではないか。さらに戦車戦でもランチェスターの法則の場面が出現することを言及しま
した。一般には戦闘機の空中戦における乗数理論(1機VS2機⇒1機VS4機分能力)として知られ
ていますが、地上で左右両サイドを敵の戦車の前進許すと、前面と両サイドの3面を囲まれることにな
り乗数効果(1両VS3両⇒1両VS9両能力)が発揮されるとのことで、こういう場合は即時後退し
戦列を整えるのが鉄則とコメントされ、興味深かったです。

 今般のウクライナ戦争についてその善悪は別にして一個人として目を見張ったものは、地下シェルタ
ーの存在です。工場等の大規模施設には多くの人が籠城できる地下シェルターが完備しているのはもち
ろんですが、個人宅も同様であり圧巻でした。多くのウクライナ国民が救われたのではないでしょうか。
ウクライナの平均世帯年収はロシアのそれの1/3と言われています。旧ソ連時代の継承とはいえ、民
間防衛の世界基準を映像で生々しく見ることができました。日本の地下シェルター普及率は0.2%と
情けないのですが、それ以上に航空自衛隊の戦闘機も地下格納庫がないという事実に驚きを禁じ得ませ
ん。《政治家ははずかしくないのでしょうか。》

 今回小川講師の「民間防衛」のレクチャーを受け、国民保護法はあるものの機能させるにはさらなる
努力が必要とも感じました。少なくとも周知徹底する教育と地域防衛を支えるネットワークづくり不可
欠のように思います。教育は自治体に働きかけて訓練の実施が有効でのように思います。日本において
は一般の消防訓練の他、地震・津波避難訓練と有事(武力攻撃、大規模テロ)訓練の3セットが必要でし
ょう。あと日本では自衛隊員、警察官以外で武器の扱える軍事訓練を受けた人数が極端に少ないのがネ
ックと思われます。一定数の従業員を擁する地場産業や有力企業の従業員の1〜3%を予備自衛官にす
るような運動を起こし地域の民間防衛のネットワークづくりも必要になってくるように感じました。
 スイスの民間防衛は有名ですが、それは国を失う事が自分たちの生命の安全はもちろん精神さえもズ
タズタになってしまうという共通認識が国民にあるからだと思います。ご体験を交えた小川講師のご講
演は日本を世界基準から客観視することができ、抑止力に効果的な手立てを一人ひとりが考えるための
気づきの多い内容でした。ありがとうございました。
                                            以上


令和4年6月25日(土) 6月講演会 田中英道氏

日 時:令和4年6月25日(土) 15:00〜17:00
場 所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 3 階 C 会議室
    東京都新宿区市谷八幡町8番地
    アクセス
講 師:田中 英道氏(文学博士 東北大学名誉教授 )
演 題:「日米戦争とは何であったか」
懇親会:近隣別会場にて懇親会を行います 。
    ◎参加費4500 円 但し高校生以下無料。
くわしくは→ こちらから


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●当会スタッフ講演会リポート

 2月24日のロシア軍のウクライナ侵攻から4か月が過ぎました。マリオポリの陥落でほぼ決着がつ
いたとの見方があります。ただ戦争終結になるかどうかは諸勢力の力学で決まるので長引くとの見方が
一般的です。こういうタイミングで6月講演会にはヨーロッパを深く知る田中英道先生(東京都ご出身、
80才)をお迎えし、「日米戦争は何であったか」という演題でご講演いただきました。先生は美術史
家、歴史家としてご高名な方で東北大学名誉教授でもあります。当会の顧問をしていただいています。

 先生は父親、祖父ともに海軍軍人というご家庭で育ったとのことです。東京大学ご卒業後、若くして
フランス政府給費留学生としてストラスブール大学に留学、その後イタリア政府給費留学生としてロー
マ大学に留学、さらにドイツ・ミュンヘン美術史研究所留学とわが国の西洋美術研究の第一人者と誰も
が認める方です。西洋の美術を中心に哲学思想に至るまで西洋に関する造詣が深くかつ立派な業績も上
げていますが、決して『西洋かぶれ』になっていない点、否西洋を越えている点が先生の最大の魅力で
す。日本のエリートが、欧米の学問、哲学思想そして経済や経営学を研究し魅了されるのは結構なので
すが、それを日本に紹介することで自尊心を満足させている方がほとんどの中で異彩を放っています。

 田中先生は西洋の神髄を極める一方、西洋における幾多の民族の興亡の歴史を通じて培われた知恵や
思想、同時に生き延びるための駆引きや虚構を内在する西洋世界の本質を見抜いています。西欧の石の
文化の美しさの裏側に、“常に殺されるのではないか”という人々の恐怖も含んでいると、その洞察力
は並みの学者ではありません。さらに、田中先生は日本独自時の自然、歴史、文化の重要性に着目し日
本国史学会を立ち上げています。日本精神や感性の原点を求めて、国内の遺跡史跡を丹念に巡っていま
す。例えば千葉県の柴山古墳で発掘されたミズラ髪で剣を付けた男性埴輪について、通説では「武人埴
輪」と言われていましたが、それを「ユダヤ人埴輪である」と断言するなど、左翼一色の日本歴史学会
に一石を投じています。

 田中先生は冒頭に「西洋とは何か」「彼らは何を考えているのだろう」「ゼレンスキー大統領だって
ユダヤ人なんです」と続け、先の戦争でGHQにより焚書になった一冊の本を紹介しました。それは復
刻版で『ユダヤ禍の世界 筈見一郎著1940年発刊』という本です。併せて、7769点の本が人知
れず焚書になったことも言及しました。さらに「この本を読むと、当時の日本の知識階層は世界のこと
や世界を動かしている勢力のことをかなり細かく知っていたことが分かる。今とは比べ物にならない。
なぜ焚書にしたのか?私たちの記憶から消し去るためなのだろうか」と言葉をつづけました。

 ユダヤの歴史をざっと見ておくと、紀元前12世紀のモーセのエジプト脱出あたりからの歴史に登場
します。ダビデ・ソロモン王時代の栄華を頂点に、紀元前722 年に北イスラエル王国(十支族)が
アッシリアに、紀元前586年には南ユダ王国がバビロニアに滅ぼされます。その後ローマ帝国・ネロ
帝(5代、70年頃)に第2神殿を破壊された第一次ユダヤ戦争(マサダの籠城で有名)、ハドリアヌ
ス帝(14代、135年)により第二次ユダヤ戦争に敗れ、ユダヤ人のイスラエル入国禁止になり、各
国に離散(ディアスポラ)します。ユダヤ人は言語・宗教儀式・教育と独自の文化を貫きますので各民
族と馴染めません。ヨーロッパ社会の封建社会から外れているので土地所有は認められず農業はできず
に様々な迫害に会います。当時忌み嫌われていた金貸し業、とりわけ王侯貴族の金庫番や専属医者・顧
問等になり財を成す者も現れてきました。ヨーロッパでは各国がユダヤ人追放令でユダヤ人が押出され
流れこんだ国が繁栄する歴史になります。イギリス→ポルトガル・スペイン→オランダ→イギリス・ド
イツとなり、日本においても鉄砲伝来→フランシスコ・ザビエルによる宣教→出島貿易→クーン・ロー
ブ商会(グラバー)とその流れに符合します。ワーテルローの戦いの1815年当時、銀行業、鉄道・郵
便・水道事業と戦争ビジネスへ投資していたロスチャイルド家の資産はヨーロッパの1/2と言われる
までになっています。

 ユダヤ人のアメリカ移民の第一波は17世紀にスペインを追われたスファラディ中心で、ニューヨー
クを建設しました。19世紀に第二波があり、主にドイツ統一の影響を受けた独系アシュケナージが流
れ込み、19世紀後半に第三派としてロシアの大迫害(ポグロム)の影響を受けた東欧系(ロシア・ウ
クライナ含む)アシュケナージと続きます。ユダヤ人の人口は少ないですが優秀な方が多くいます。と
くに金融はもちろんアカデミズム・医者・法曹界と社会のかじ取り部門を抑えています。田中先生も海
外留学時の指導教官は全てユダヤ人で優秀かつ面倒見も良かったと述懐していました。

 ユダヤの歴史を背景に現在のウクライナ戦争を見ると、主要登場人物の特徴が浮かび上がります。ア
メリカ・バイデン大統領を政府内で動かしているアントニー・ブリンケン国務長官、ビクトリア・ヌー
ランド国務次官とも先祖はウクライナ系ユダヤ人です。そしてウクライナ側のゼレンスキー大統領もユ
ダヤ系だしゼレンスキーのスポンサーと言われている大財閥のコロモイスキーはウクライナに加えてイ
スラエルとキプロスの三重国籍者です。すると、この戦争にユダヤ(=ネオコン)が深く関わっている
構図が浮かび上がってきます。そして4月25日にアメリカのロイド・オースティン国防長官は訪問先
のポーランドでの記者会見で「戦争目的はロシアの弱体化することを望む」と発言しました。全体像を
俯瞰すると、この戦争はウクライナで行われている米ロ戦争とも見て取れます。そうならば、ロシアは
日米戦争に引きずり込まれた日本と重なるし、ウクライナは1939年にドイツ系住民が多くいたダン
ツィヒ割譲とポーランド回廊建設を求めるドイツの要求を英国に嗾けられて頑なに拒んだポーランドと
ダブって見えてきます。ポーランドはその後ソ連の侵攻をうけドイツとソ連に分割されてしまいました。

 演題の日米戦争は本当に何であったのでしょうか。日本は戦争をしたくありませんでした。挙句の果
てに日本は東京大空襲、広島・長崎への原爆投下というアメリカによる民間人35万人の大虐殺によっ
て戦争を終えることになりました。GHQの占領政策は徹底していました。武装解除と米軍駐留、財閥
解体と農地解放、非工業化、そして21万人に及ぶ指導者層の公職追放と教育が奪われ、宗教文化まで
変質させられました。言論統制とマスコミコントロールと社会のすべてを網羅しました。新憲法もGH
Qのケーディス(ユダヤ系)等が中心になり市民革命の第一段階として軍隊が持てないように作られま
した。

 しかし、田中先生は、日本は負けていないと主張します。日本による原爆実験は1941年8月12
日に江南(現在の北朝鮮)で成功したのだが、翌8月13日にソ連に略奪されたとのことです。そこで
8月15日の終戦にしたのだとも述べました。負けてないから戦後も国体は守られているし、マッカー
サーが本気で日本をキリスト教国にしようとしたが、現在でもクリスチャンは1%もいないではないか
と言及します。「支配」に異常な執念を燃やす西洋の価値観に対し、かつて「人種差別撤廃」を提案し
た平等な役割社会に価値を置く日本文化が彼らにとってある意味で脅威だったのかも知れません。日本
人がどこを向いても日本の良さ考えさせなくする環境にしたかったのでしょう。残念ながら日本社会の
エリート・上層部はGHQの政策にハマり抜け切れていません。ただし庶民は大和魂のDNAが息づい
ているというのです。大木で言うなら枝が折れ葉っぱが半分程度落ちているが、根っこはしっかりして
いて再生可能というところでしょうか。田中先生は私たちが日本の歴史・伝統・文化を強く意識するこ
とによって、必ず日本を取り戻すことができるとの強いメッセージを残し、ご講演を締めました。

 日米戦争を見るためにはアメリカの内情の知識が必要です。アメリカは言ってることとやってること
が全く異なり、それに対し全く罪悪感を持たない国民性です。さらに自分に都合が悪い相手は適当な理
由をつけて容赦なく抹殺します。一方、国内政治力学的には19世紀までのアメリカはWASPが主流
だったのですが20世紀は莫大な資金力を背景とするユダヤ国際主義者の勢力が上回ってきたという潮
流があります。その典型的なのはウィッドロー・ウィルソンを学者から(第28代)大統領に押し上げ
たスポンサーはユダヤ系大富豪のバーナード・バルークに他なりません。影の大統領と呼ばれた大物で
す。彼はチャーチルの友人でもあり、彼らの戦争準備には対ヒトラーのみならず、対日戦争も含まれて
いたのです。

 その時点で日本はロックオンされていたという事になります。またアメリカの対日政策を見る場合、
第26代大統領のセオドア・ルーズベルトに見いだされたヘンリー・スティムソンが重要になるとのこ
とです。彼は第32代大統領のフランクリン・ルーズベルトの時代まで20世紀の前半の半世紀をアメ
リカ政治の中枢にいました。彼はフィリピン総督を務めた経験もあり、肌感覚で日本の脅威を感じ取っ
ていたのでしょう。彼は満州事変や満州国建国に対し「不承認主義」を唱え日本を苦しめ続けました。
F.ルーズベルトの「日本挑発作戦」(日本にアメリカ攻撃の第一撃を打たせる作戦)の当事者でもあ
り、原子爆弾計画の主要人物でもありました。日米戦争の終盤に原爆投下候補地の第一が「京都」だっ
たのですが、スティムソンが反対して広島と長崎になったと言われています。彼は国際世論と終戦後の
日本統治を考えての合理的判断と思いますが、日本の一部の人は「スティムソンが京都を救った」など
という者もおり、唖然としてしまいます。

 田中先生は歴史家として日本文明の確固たる潮流を訴えました。日本愛のエールのように感じました。
歴史は川の流れのごとく必然と偶然が絡み合い流れを決めていきます。2000年以上の歴史を持つわが国
がまっとうな流れに戻れるよう日本精神の探求と日本国民のまとまりの必要性を強く感じたご講演でし
た。
                                            以上


令和4年5月21日(土) 5月講演会 河野克俊氏

日 時:令和4年5月21日(土) 15:00〜17:00
場 所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 3 階 C 会議室
    東京都新宿区市谷八幡町8番地
    アクセス
講 師:河野 克俊氏(前 統合幕僚長・元海将)
演 題:「ウクライナ戦争と日本の安全保障」
懇親会:近隣別会場にて懇親会を行います 。
    ◎参加費4500 円 但し高校生以下無料。
くわしくは→ こちらから


●当会スタッフ講演会リポート

 5月は第五代統合幕僚長の河野克俊元海将をお迎えして「ウクライナ戦争と日本の安全保障」という
演題でご講演いただきました。河野講師はこのウクライナ戦争勃発でスケジュールがよりタイトになら
れた模様で、本日も靖国神社でのご講演からこちらの会場に直行いただいてのご講演との事です。私ど
も「防人と歩む会」には2019年10月にご講演いただいておりますので、今回は2度目のご講演になり
ます。
〔略歴:1953年函館生まれ、1977年防大機械工学科卒業し海上自衛隊入隊、護衛艦長等要職を経験さ
れ、2012年に海上幕僚長そして2014年に第五代統合幕僚長に就任。在任は異例の4年半の長さ。2019
年4月退官。(統幕長任期中は安倍総理時代)〕

 葛城会長から「制服組のトップになられた河野前統幕長はなんと防大に補欠入学だったそうです」と
の親しみあるご紹介の言葉を受けて、河野講師はその防大入学のエピソードを披露してくれました。氏
によれば、防衛大学校が4月1日に入校者を集めたところ不足が判明したため、その日の夜に「4日着校
を命ずる」と河野宅に電報があったとのことです。大喜びではせ参じると今度は身体検査で「タンパク」
を指摘され落とされそうになり歓喜は一瞬に暗転、「身体に関しては一切自己責任」という一筆をとら
れてどうにか入隊云々、とドラマの早送りのごとく当時の思い出を語ってくれました。

ウクライナ戦争については、当初のロシア軍の動きが尋常ではなく特に指揮系統に奇異を感じるとの軍
事の専門家としての見解を示しました。つまり、ロシアは当初東部ドンバス地方2か所とキエフとの3
箇所に軍を展開しました。ところが各部隊はバラバラに行動していて、統括司令部を置いていないこと
が分かります。長い(数メートルの)テーブルの両端でロシア軍指揮官2名が核使用についてプーチン
大統領から指示を受けている奇妙な映像も流れました。1ヵ月半たってからアレクサンドル・ドヴォル
ニコフが総司令官に任命されており、今回の戦争はロシアの参謀本部が練りに練った戦略・戦術ではな
かったと推測されるとの事です。するとこの作戦はFSB(ロシア連邦保安庁、KGBの後身組織)主
体で立案されたのではないかとも考えられるとのことです。なぜかと言えば、共産党(系)の軍隊は民主
主義国の軍隊とは違うそうで、為政者は軍隊のクーデターを常に警戒しているとのことです。軍隊を見
張る任務を情報機関に委ねることが間間あるそうです。ロシア軍はハリコフで川を渡る作戦において約
1,000名の兵隊を失ったとのことであり、同じ過ちを9回も繰り返したとも伝えられています。前線指
揮官の能力にも問題がありますが作戦を変えられない監視状態であったとも考えられるという見解であ
り、ロシア軍内部を見てるかのような分析でとても説得力がありました。

河野講師は1984年刊行のベストセラー「失敗の本質(日本軍の組織論的研究)」という書物を引用されウ
クライナ戦争の分析を展開します。要約すると @目的が不明確 A兵力の逐次投入 B根拠なき楽観
主義だそうです。クリミヤやウクライナはエカチェリーナ2世(ロシア皇帝)治世の18世紀にオスマン
トルコとの2度にわたる露土戦争で勝利して併合した歴史を持ち、プーチン大統領は2021年に「ウクラ
イナはロシアと同民族」という論文を発表しました。同じ民族なのでNATO加入などとんでもいない、
非軍事化・中立化は当然という論理(かつ信念)に帰結します。しかしこれはロシアの若い兵隊にも共
有できる目標になるのか甚だ疑問です。実際ウクライナ人はロシア兵を解放軍とは見てくれませんでし
た。一方、兵力をみるとロシア軍は十数万の陣容です。陸戦では攻める側が制圧するには守る側の3倍
は必要というのが定石との事です。侵攻開始から3か月でロシア兵の死亡者数は25,000人と言われてい
ます。アフガン戦争でも累計死者数は10,000未満だそうです。目的そのもの、戦力投入、それに「早期
陥落」という楽観論などロシアの戦略戦術のすべてにズレがあったとの見立てを述べました。

さらにこの戦争がもたらすものとして、戦略的には2つの常識を覆したと指摘しました。一つは「NP
T体制の崩壊」であり、もう一つは「世界が、核戦争を恐れて軍事介入をしないアメリカを見てしまっ
た」という事を挙げました。つまりスーパーパワー・アメリカを中心とする世界秩序の崩壊に他なりま
せん。

NPT体制は核兵器保有国の増加を防ぐことを目的としていますが、当然核保有5大国が立派で分別が
ある大人であるという前提で組み立てられています。(尤も、ジャイアンのアメリカだけは特別扱い) 
しかし、今回ロシアはウクライナに核使用を匂わせました。逆からいうと、北朝鮮に核を持つ正当性を
与えたことになります。統幕長だった2017年にアメリカと北朝鮮との緊張状態がピークになったと言及
し、戦争確率は6割7分と感じる毎日だった述懐していたのが印象に残りました。

アメリカは先の世界大戦後、朝鮮戦争、ベトナム戦争から中東全般さらにバルカン半島と休むことなく
戦争に明け暮れる覇権大国として世界に君臨してきました。そのアメリカがウクライナ戦争において 
「ロシアと核戦争になるので軍事介入しない」と言い切ってしまったのです。アメリカ中心に組み立て
られていた平和の太柱の強度が一斉に疑念視され出します。いよいよ世界は新秩序に向けて有力国中心
に有利なポジションを取るための動乱期に突入していくのでしょう。

日本の状況を言うと、戦後は戦争をしない国として経済発展に傾注し、世界には経済援助で貢献すると
いう姿勢を貫いできました。1980年8月に勃発した湾岸戦争において当時の海部政権が多国籍軍に130
億ドル(1兆7千億円)の資金援助をしたにもかかわらず、兵を出さなかったことでアメリカや多国籍軍参
加国からも評価されず戦争終結後のクェートが戦争終了後に出したワシントンポスト紙の感謝広告に日
本名がないという屈辱を味わいました。これらの経験から、1991年4月に自衛隊の実任務として初めて
掃海部隊の自衛隊ペルシャ湾派遣を行なうことになりました。世界情勢の激変を背景に1991年は自衛隊
の海外派遣がオペレーションの時代に入った転機の年になります。その後オペレーションの積み重ねる
ことで世論調査において自衛隊への信頼度93%を獲得するに至ったことを強調されまた。加えて、この
数字は決して東日本大震災での自衛隊の活躍のみで達成されたわけではないことも付言されました。

世界の政治力学の変化と地政学から現在の日本を見ると、正に西側陣営の最前線にいることが明白です。
中国、北朝鮮、ロシアは核保有国であり、戦場が第一列島線内つまり日本国内で起こることを意味して
います。最大の脅威である中国共産党の海洋側・核心的利益は香港、台湾、尖閣という順であり、確実
に歩を進めています。「中共にやらないという選択肢はない。やらせないようにどうするかが日米の鍵
である」と述べ、日本は核兵器については「シェアリングであっても使用の意思決定に関与できる」こ
とが重要だと強調しました。核弾頭搭載可能な中距離ミサイルを保有することが抑止力に最も有効であ
るとの見解を語りご講演を締めました。

河野前統幕長は軍事の頂点を極めた方であると同時に、各国軍人や各界著名人との幅広い親交のせいで
しょうかいろいろな角度から明るい口調で持論を展開いただきました。戦略や戦況分析に独特の鋭さを
お持ちで、国防への熱い思いが会場の隅々まで伝わったように感じました。地政学的には日本の危険度
は現在のウクライナより大きいことを学ばせていただいたご講演でした。
                                            以上


令和4年5月14日(土) 旧海軍墓地参拝 防人と歩む会・広島

日 時:令和4年5月14日(土)午前11時〜午後12時半 現地集合
場 所:旧呉海軍墓地 長迫公園

令和4年5月18日 理事 寺岡 節(文責 事務局 浜田隆文)



最後の写真は入船山記念館の【旧呉鎮守府司令長官官舎】で国重要文化財です。内壁の【金唐神】がうつくしいのです。

いつもお世話になっております。
さて、防人と歩む会の広島会員においては、令和4年5月14日(土)に下記の方々10名で呉市にあ
る海軍墓地(現長迫公園)の清掃、参拝、「君が代」「海ゆかば」斉唱を行いました。その後、昼食
(海軍カレー)をはさみ、入船山記念館の見学を行いました。以下、その様子をご報告いたします。

1.海軍墓地に現地集合(午前11時〜午後12時半)
  約1時間、清掃を行った後に、「大東亜戦争戦没者の碑」前にて参拝を行いました。
  この墓地は1890年(明治23)に、海軍軍人などの埋葬地として開設。日清戦争、日露戦争、
  大東亜戦争などにおける海軍軍人の慰霊碑(戦艦大和戦死者之碑、空母飛鷹慰霊碑など)が数多く
  設置されています。また、この墓地は、「長迫墓地顕彰保存会」によって維持・管理されておりま
  す。
  毎年9月23日の秋分の日には、県知事・呉市長等が参列され、慰霊祭が実施されます。
  慰霊祭には、地元の小学生も参加して、戦死者への追悼の言葉を述べています。
  私たちは参拝後、ここの事務所をお借りして、参加者の自己紹介や海軍に関する意見交換を行いま
  した。

2.入船山記念館の見学(午後2時〜同3時半)
  この記念館には、旧呉鎮守府司令長官官舎を明治38年の建築当時の姿に復元したものや、東郷平
  八郎が呉鎮守府参謀長として呉に在任中(明治23年〜同24年)に住んだ家の離れ屋敷などがあ
  り、旧帝国海軍のありし日の姿を彷彿とさせる記念館で、有意義な研修となりました。

  

令和4年4月23日(土) 4月講演会 矢野一樹氏

日 時:令和4年4月23日(土) 15:00〜17:00
場 所:ホテル グランドアーク半蔵門
     東京都千代田区隼町1番1号
     アクセス
講 師:矢野 一樹 氏(元 潜水艦隊司令官(海将) )
演 題:「日本の核戦略」
懇親会:ホテル内別会場にて懇親会を行います。
    ◎参加費 5000 円 但し高校生以下無料。
くわしくは→ こちらから



●当会スタッフ講演会リポート

 4月は本日から「防人と歩む会」理事長に就任された矢野一樹氏(元 潜水艦隊司令官(海将)、今治
出身 66才)に「日本の核戦略」という演題でご講演いただきました。矢野講師は昨年7月の「潜水艦
と日本の防衛」という演題でご講演していただいており、今回2回目で理事長就任記念講演になります。

 本論の前に現在のウクライナでの海上戦闘についてのコメントがありました。ロシア海軍の旗艦であ
る「モスクワ」がネプチューンで被弾したのも衝撃的ですが、ロシアは@今年の1月には北海・バルト
海から揚陸艦6隻を黒海に運び計13隻体制にしておいたこと、A2月にはオデッサ沖を封鎖、 B3月
にはオデッサ沖で浮遊機雷が確認されていることなど、着々と準備していたことを知りました。これに
対しウクライナ海軍は潜水艦が一隻もなく唯一のフリゲート艦を自沈させざる得なかったと聞いて衝撃
を受けました。自沈するフリゲート艦の画像と「海軍には海軍で対応する以外に方法はないのです。」
との矢野海将の言葉とで『戦闘』という厳しい現実を目の当たりにしたかのようでした。

 本論では核保有の超大国のロシア、アメリカ、続く中国及び北朝鮮の各国核戦略と保有核種類の特徴
についてかなり専門的なレクチャーでした。核小型化やロケット・原子力潜水艦開発の進歩に伴って核
戦略と運搬手段が変化していることが分かりました。アメリカを中心に核戦略運搬手段の基本は、航空
優勢として@無人機航空機 A長距離航空機 Bステルス航空機 水中優勢としてC水中戦 D総合エ
ンジニアリングという戦略になっているそうです。

 日本については、「アメリカの核の傘」に依存しつつ「非核三原則」堅持という論理的にも現実的に
も矛盾の中に身を置いていること。日本は潜水艦やミサイル、原子力の技術を持ちながら国防について
惰眠をむさぼってきたことに厳しい指摘がありました。《我が国の政治家は「専守防衛・最低限の軍備」
という発言をよくしますが、国民としては「この国は何人殺されてから反撃をするのだろうか?その時
は既に終わっているのでは…」と不安が募ります》

 また、潜水艦の隠密性と長期滞在性という利点から、戦略の有効性について言及がありました。前回
のご講演で、海中は電波が届かないこと、潜水艦運用は動力の電池が生命線でその残量によって作戦行
動の組み立てが変わってくることなどをレクチャーいただいていましたので説得力がありました。
また、フォークランド紛争の時、水上艦部隊に先駆けて攻撃型原子力潜水艦が出動したことで、アルゼ
ンチンの艦船は港に封じ込めになったとのことです。改めて、潜水艦の機動力優位性の知識を得ました。
もちろん、動力に限界のない原子力潜水艦は別物で戦略・戦術的に圧倒的に優位とのことです。

 現在、米・英・豪のオーカス(AUKUS)についても言及されました。3ヵ国による原子力潜水艦の
軍事同盟です。中国の海洋進出に対し米同盟側最終防衛ライン兼反撃拠点を意味するアングロサクソン
同盟になります。TPPやクワッドは各国の思惑もあり中国の軍事進出を直接抑止するのは難しくなっ
てきており、このオーカスは現在の日本のためにあるような同盟であり、参加は日本の防衛力を飛躍的
に上がると言えるのではないでしょうか。矢野講師は日本の法整備の問題もあるものの、解釈で越えら
れるものもあり日本の防衛力整備を急ぐ必要性を訴えて講演を結びました。

 かつて、ケネディ米大統領がドゴール仏大統領に”アメリカの核の傘”に入るように説得した際、ド
ゴールは「パリに原爆が落とされたら、ニューヨークが核攻撃で破壊されると分かっていても敵国に原
爆を落とすと約束ができるのか?」と問い詰めて、"核の傘"なる虚妄を一蹴したそうです。軍人出身の
ドゴールはリアリズムの中で生きてきたので、ディズニーのおとぎ話のような"核の傘"の欺瞞を即座に
見抜いたのでしょう。傑出した政治家の一人でした。多分、戦後の日本人は考えることを止めて信仰の
ように"核の傘"にすがってきたのかも知れません。しかし、直近のアフガニスタンやウクライナを目の
当たりにすることで世界の現実を知るに至りました。現在日本の最大の脅威は中国です。日本は是非と
も国産の原子力潜水艦を持ち、日本の周辺と太平洋を守れる態勢づくりを急いでほしいです。フランス
とは立場は異なれど、ドゴールが祖国を愛したように日本の政治家こそ刺違える気迫をもってアメリカ
との折衝をお願いしたいです。私達国民も自立への覚悟を示さなければいけない局面にいることを認識
させられたご講演でした。
                                            以上


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