• 産経新聞「直球&曲球」に掲載された会長 葛城奈海コラム

産経新聞 「直球&曲球」(平成30年度)


30/ 2/ 3 「首相が特殊作戦群を視察」に快哉

 1月19日付本紙東京版で「日豪、防衛協定で協議 両首脳『極秘』特殊作戦群を視察」との見出しに触れ、私はひとり快哉を叫んだ。これまで「自衛隊による拉致被害者救出」を訴えてきたが、仮にそれが実現するとしたら、任にあたるであろう特殊作戦群の存在と実力を最高指揮官である首相が知らずして、命令を下せるはずがない。そう思い、かねて切望していた首相による同群視察が実現したのだ。
 このように考えるようになったきっかけは、特殊作戦群初代群長を務めた荒谷卓氏から、ある国では特殊部隊の訓練を首相自ら人質役になり体感すると聞いたことによる。多少の負傷も厭わず首相が直接、部隊の実力と隊員たちの士気に触れることで、命がけの任務を付与する側とされる側の信頼関係も醸成される。この日の動静によれば、豪首相を見送った後、首相は再び同群の訓練を視察している。熱心に部隊を知ろうとした証左であろう。
 拉致問題を「最優先課題。全力で取り組む」というのであれば、自衛隊の活用を選択肢に入れるべきだ。横田めぐみさんの拉致から昨年で40年。被害者ご家族の訃報も相次いでいる。これ以上、どう待てというのだ。法の制約があるというならば、国民を守れない法など変えるべきであろう。超法規的措置という手段もある。情報がないのに無理だという人もいるが、明確な目的があればこそ、人も国も真剣に情報を集めるものだ。国は、日本海側に相次ぐ漂着船の乗員や、日本に200〜250人はいると言われる脱北者から真摯に情報を収集しているか。していないとすれば、それこそ「本気ではない」証しではないか。

 予備役ブルーリボンの会(荒木和博代表)では、「拉致被害者救出への自衛隊の活用を求める」元自衛隊員らの署名を集めることを決めた。情報収集から保護、輸送まで自衛隊のできることは様々ある。そもそも何のために存在する自衛隊か。「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、わが国を防衛する」原点に立ち返り、関係者自ら国を動かす原動力となることを切に願う。


*産経新聞【直球&曲球】より

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30/ 1/ 4 いかに大御心に添うか 真摯に応える年

 「伝統あるこの国を守ることができる幸せを感じています」。年末の会合で知人の発した言葉が琴線に触れた。同胞が40年も拉致され続けているのに“平和”を謳歌する日本。「この国を守れていないふがいなさ」にばかり目が向いてしまう私には新鮮な視点であり、それでいて、なにか深いところに響いた。
 私たちが守りたいと思う「伝統あるこの国」とは何か。どんな時代にも変わらず日本の歴史を貫いてきたのは、国安かれ民安かれという天皇陛下の祈りに国民が包まれて続けてきたことだろう。権力をもって支配するのではなく、国の様や民の心をお知りになろうと努める天皇陛下にとって国民は「大御宝」、つまり我が子のような存在だ。
 歴代天皇は、大地震など天変地異があれば、自身の「不徳の致すところ」とし、元旦の儀式として宮中で行う四方拝では、「盗賊、毒、危難、害などあらゆる禍が国民に降りかからずわが身を通過しますように…」と祈られている。その恩は私たち国民ひとりひとりに降り注いでいる。民は陛下と一体となり、その大御心を体する国民たらんと務める。それが日本の国柄であろう。だからこそ、「守ることに幸せを感じ」られるのではないか。
 5人の拉致被害者が帰国した平成14年、お誕生日に際し皇后陛下はこう述べられた。
 「小泉総理の北朝鮮訪問により、一連の拉致事件に関し、初めて真相の一部が報道され、驚きと悲しみとともに、無念さを覚えます。なぜ私たち皆が、自分たち共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識続けることができなかったかとの思いを消すことができません。今回帰ることのできなかった人々の家族の気持ちは察するにあまりあり、そのひとしおの淋しさを思います」。
 あれから15年が過ぎた。北朝鮮の地にいて、いまだ帰国を果たせない被害者を誰よりも案じ、一日千秋の思いで待ちわびる家族の思いにもっとも寄り添い続けてこられたのは、他ならぬ天皇、皇后両陛下なのではないか。

 いかに大御心に添うか、われわれ国民が真摯に応える年にしたい。


*産経新聞【直球&曲球】より

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