(R.3.11.20記)
安全保障の基礎U
                           防人と歩む会 顧問(前理事長) 渡邉秀樹

 安全保障Tですでに触れていますが重点なので別の視点から個別的、集団的自衛権、集団安全保障措
置の違いについて述べます。

 いま仮に、一昔前の村社会において火災が起きた時の対処を例に取って、3者の違いを簡単に説明し
てみます。

1 火災が起きれば、まず自分の手、家族がいれば家族総出で初期消火に努めます。

2 家族で消すことができずに大きくなれば、隣近所の人の手を借りて、バケツリレーで消そうとしま
  す。そのためには日ごろから意思疎通し訓練しておくことも必要です。

3 隣近所が助けに来ても消せないようならば消防団に連絡するでしょう。常設の消防署がない時代は
  村人の有志で消防団を組織していましたが、団員にはそれぞれ生業があって駆けつけるまでに時間
  がかかりますから、到着までは近所で頑張ります。消防団の組織的活動が始まれば、近所の人は手
  を引くことができます。

  自分の手で消すことが個別的自衛権、近所の人の手を借りることは集団的自衛権、消防団の組織的
  活動は集団安全保障措置です。どれが欠けても大きな火災は消火できません。これらが揃って初め
  てシームレスな消火活動ができるのです。

  村社会で、近所のバケツリレーに参加しなかったり、適格者がいるのに消防団員を出すのを渋った
  りすることはできません。それがなければ村の一員として村の安全への責任は果たせないからです。
  つまり、自衛隊、日米安保、国連軍がそれぞれ担う個別的自衛権、集団的自衛権、集団安全保障の
  三拍子が揃わなければ、国際社会の一員として国際平和への責任は果たせないのです。

  自衛隊を認め自衛権を容認していても集団的自衛権や自衛隊の海外での活動は憲法違反と言う勢力
  があります。集団的自衛権は日米安保条約で集団安全保障は安保法制で不十分ながら法的な裏付け
  はありますが、憲法上の規定がないからです。その不備はやはり憲法で正さなければなりません。
  憲法改正時には是非ともスッキリさせて欲しいものです。


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